今回紹介するのは臀部の粉瘤です。
臀部に認める約5㎝の粉瘤です。
10年程前に見つけてから置いていたようです。
エコー検査を行い、当日に手術を行います。
この大きさであれば本来であれば切開法を行うところですが、今回は炎症の既往もなかったため、3㎜パンチによるくりぬき法を行いました。
かなり難易度の高い症例ですが術中動画を撮影しました。手術中の動画のため、苦手な方はご遠慮ください。
3㎜の穴から非常に綺麗に粉瘤を摘出する事が出来ました。
一部の被膜が周りに癒着していたため、丁寧に剥離を行っています。
最後に残った被膜がないことを確認し、手術を終了しています。
穴が小さいため軟膏処置だけで経過を見ています。
穴を開けたままにするのはもう一つ理由があります。
術後に少量の出血があった場合に、創部の中に血が溜まり、血腫が出来てしまうためです。手術の際に被膜だけを切除した場合にはほとんど出血がありませんが、時には出血をしてしまう場合があります。その時に、小さなドレナージ孔があれば血腫の予防ができます。
切除された腫瘍です。一部破れてはいますが、しっかりとした被膜が切除されています。
くりぬき法は先に中にある老廃物を除去しているため、切除した後の腫瘍を見ると非常に小さく見えます。
術後一か月の創部の画像です。
まだ痕がありますが経過とともに目立たなくなってきます。
6か月経って創部が気になる方は小さくメスで切開し、綺麗に縫合する事で創部を更に綺麗にすることも出来ます。
形成外科 専門医
古林玄
大阪医科大学卒業後、日本一の乳房再建症例数のがん研有明病院で乳房再建を学び、聖路加国際病院で一般形成、美容外科の基礎を学ぶ。聖路加国際病院を出た後は眼と鼻の手術のスペシャリティーである大竹尚之先生の下で手術を学ぶ。