脂肪腫は良性のしこりとして知られていますが、「最近急に大きくなった」「触ると硬い」といった変化があると不安になる方も多いでしょう。
脂肪腫は通常ゆっくりと成長しますが、まれに急に大きくなることがあります。この違いは良性と悪性の可能性に関係することがあり、悪性腫瘍も考えられるため正しい対処が必要です。
良性と悪性のしこりの見分け方、そして不安な症状が現れた際の対処法について解説します。
脂肪腫とは
脂肪腫とは、脂肪細胞からなる良性腫瘍で、痛みがなく柔らかい腫瘍です。サイズは1~10cm程度が多いですが、さらに大きくなる方もいらっしゃいます。発生部位は体幹部に多く、他には上腕、大腿、臀部などにも発生することがあります。お顔や足に発生することは比較的稀です。
また発生時期としては子供の頃が多いですが、成長スピードが遅いため、大人になってから気付く方がほとんどです。診断には触診や画像検査などで判断しますが、悪性腫瘍が疑われる場合は精密検査を行うこともあります。
予想通り脂肪腫だった場合は治療は通常不要ですが、日常生活に支障をきたす場合や見た目が気になる方、痛みを伴う場合は切除することもあります。
脂肪腫は急に大きくなることはある?
脂肪腫は急激に大きくなることはほとんどありません。良性腫瘍である脂肪腫が大きくなるスピードはゆっくりとしています。
つまり、数カ月の間に明らかに急に大きくなった場合は、脂肪腫ではなく『悪性腫瘍』の可能性を疑う必要があります。
考えられる疾患としてはまず、『脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)』があります。この疾患は脂肪細胞由来の悪性腫瘍で、初期には症状がないことが多いものの、「急速に大きくなる」という特徴があります。特に、10cmを超える大きさの腫瘍や硬く癒着している、痛みがある、太ももにできたものは脂肪肉腫の可能性があり、慎重に判断することが必要です。
また、他にもガングリオンや粉瘤など、脂肪腫に似た腫瘍も存在するため、見た目だけで判断せず、医療機関での診察を受けましょう。
急に大きくなった場合の注意点
脂肪腫が急に大きくなった場合は、下記の点に特に注意しましょう。
- ・悪性腫瘍が疑われる
- ・痛みや不快感を感じる
悪性腫瘍が疑われる
悪性腫瘍の場合でも初期症状がほとんどなく、皮下にしこりとして現れる点では脂肪腫と似ていますが、短期間で急速に増大することが特徴です。また、脂肪腫とは異なり、硬くて周囲の組織と癒着しやすいです。
さらに、腫瘍の位置によっては圧迫されて消化不良や腹痛など体に様々な不調を感じる方も多いです。手足や関節付近に発生すると運動機能に支障が出ることもあり、悪性が進行すると体重減少や発熱、倦怠感などの全身症状が現れることもあります。
脂肪腫と脂肪肉腫は見た目だけでは判断が難しいため、しこりが短期間で大きくなった場合や痛みを伴う場合は、早めに専門医を受診し、エコーやMRIなどの精密検査を受けることが重要です。
痛みや不快感を感じる
悪性腫瘍(脂肪肉腫)ではなかったとしても、急激に大きくなることで痛みや不快感を感じる場合も注意が必要です。
特に、腫瘍が神経や血管、周囲の組織を圧迫すると、痛みや圧迫感、腫れなどの症状が現れることがあります。初期には自覚症状がほとんどないため気づきにくいことが多いですが、腫瘍が大きくなるにつれて症状がはっきりと感じる方が多いです。
脂肪肉腫は悪性の軟部腫瘍であり、進行すると痛みを伴うことがあり、特に短期間で急成長した場合には注意しましょう。
良性と悪性の違い
良性腫瘍と悪性腫瘍の最も大きな違いは、成長スピードと腫瘍の硬さにあります。
違うポイント | 良性 | 悪性 |
---|---|---|
大きさ | ゆっくり肥大化する | 急激に肥大化する |
触覚 | 柔らかい、動く | 硬い、動きがない |
痛み | なし | 部位によってはあり |
良性腫瘍の場合は、ゆっくりと肥大化していきます。大きな特徴としては柔らかく、触ると腫瘍部分が動かせる点です。通常は痛みを伴うことはほとんどなく、大きくなった場合でも転移などの心配はありません。
一方、悪性腫瘍である脂肪肉腫は、短期間で急速に肥大化します。そして腫瘍部分は硬く、皮膚や筋肉に癒着することが多いため、触れても動かないことが多いです。また、痛みを伴うことがあり、特に大腿部や体の深部に発生した場合は悪性の可能性を疑われます。
また、良性や悪性は見た目だけでは判断が難しく、医師による診察や精密検査で確認する必要があります。特に10cm以上の大きな腫瘍、急激に肥大化した腫瘍、硬くて動かない、痛みを伴うものは、悪性の可能性があるため、早めの医療機関の受診が推奨されます。
最終的な診断には病理組織検査が必要となり、悪性と診断された場合は手術や放射線治療、化学療法を用いて治療されることが一般的です。良性か悪性かの判断は自己判断では難しいため、気になるしこりがある場合は早めに受診しましょう。
脂肪腫の治療について
脂肪腫は自然に消えることがなく、薬物療法や注射による吸引などでは効果がありません。そのため、治療を行う際は、外科手術による摘出となります。手術は局所麻酔を使用することが一般的で、比較的小さな脂肪腫であれば短時間での処置が可能です。
手術の流れとしては、まず麻酔を行い、皮膚を脂肪腫の大きさに合わせて切開します。脂肪腫を周囲組織から慎重に剥がして摘出します。切開部はできるだけ傷跡が目立たないように細かく縫合されるため、安心してください。術後1週間ほどで抜糸を行い、皮膚が再生していくことで治療が完了します。
手術後は、再発の可能性は低いとされており、術後は一時的に痛みや腫れが生じますが、日を追うごとに良好になっていきます。大きな脂肪腫では悪性の可能性も否定できないため、摘出後に精密検査を行うことがあります。
受診先
脂肪腫の受診先としては、主に「形成外科」と「皮膚科」の2つになります。それぞれの科は役割や診察対象が異なるため、疾患に応じて受診先を選ぶことが必要です。
形成外科
形成外科は、身体の表面に発生する腫瘍であったり変形などを外科的に治療を行う診療科です。機能だけでなく見た目のきれいさにも配慮しながら治療を行います。治療範囲は、外傷治療や先天異常の矯正、腫瘍切除、美容医療など多岐にわたります。
特に、ケガや手術の傷跡を目立たなくする技術に優れており、脂肪腫の診療においても手術による摘出では傷跡を最小限に抑える工夫が施されるため、美容面を重視する方にもおすすめです。
皮膚科
皮膚科は、目に見えている皮膚の異常を専門的に診察する診療科です。皮膚の症状は、皮膚そのものの病気だけでなく、糖尿病や肝臓病、膠原病、悪性腫瘍など、全身の疾患のサインとして現れることもあります。
そのため、皮膚科では発疹やしこりの診察を通じて、必要に応じて検査や他の診療科との連携を行い、全身の健康状態にも配慮した診療を行います。脂肪腫が気になる場合、まずは皮膚科を受診し、必要であれば形成外科へ紹介されるケースもあります。
まとめ
脂肪腫は通常ゆっくりと成長する良性のしこりですが、まれに急に大きくなることがあります。良性の脂肪腫は痛みがなく柔らかいことが多いのに対し、悪性のしこりは急速に成長し、硬く動きにくい点が大きな違いです。
当院は、形成外科医による「特殊な縫合技術」で傷跡が目立ちにくく、きれいな仕上がりで治療を行えるクリニックです。しこりの変化に気づいた際は、早めに医療機関を受診することが推奨されますので、ぜひ当院にご相談ください。
皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科専門医のいるクリニック
大坂梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医による日帰り手術を行っております。粉瘤をはじめ、脂肪腫や眼瞼下垂、耳垂裂と幅広い手術に対応しております。見た目にもきれいな仕上がりで再発の少ない手術を行っております。
また当院では女性の医師による診察・手術も行っております。