脂肪腫(リポーマ)の治療法
脂肪腫は自然になくなることはなく、液体ではないので中身を注射器で吸い出すこともできません。そのため治療には、外科手術による摘出が必要です。細胞が残ると再発する可能性があるため、手術では切開して薄い膜に包まれた脂肪腫をかたまりごと完全に切除します。ゆっくりと成長する良性腫瘍ですが、大きな脂肪腫には稀に悪性のものがあるため、必要と判断されたら切除後に病理検査を行います。
手術の流れ
インターネットから予約をとっていただき、エコー検査を行います。エコー検査で診断がつかない場合や、大きい腫瘍の場合には他院でMRI検査をしていただく場合もあります。当日手術も可能ですが、診断がつかない場合には検査後に再度来院していただき、手術を行います。
Step1該当箇所へのマーキング
肩に大きな脂肪腫(リポーマ)があることがわかります。手術前に、該当箇所にマーキングを施します。
Step2麻酔注射と切開
麻酔を注射し、できものの直上の皮膚に切開を加えます。麻酔が苦手な方のために、麻酔の痛みを軽減するために極細の針を用いるなどの工夫をしております。当院では、形成外科医が皮膚切開のデザインを行い、できるだけ小さくするようこだわります。
Step3腫瘍の摘出
腫瘍を摘出します。指とピンセットを扱いながら、丁寧に進めていきます。
Step4止血と縫合
できものを取り除いた部分は空洞になり血が溜まりやすいのでしっかりと止血を行い、縫合を行います。そして必要に応じドレーンと呼ばれる管を入れ、血が溜まらない様にします。その後ガーゼと伸縮テープで圧迫固定をして終了です。
Step5抜糸
抜糸をします。縫合方法によっては縫い合わせが露出しないようにすることも可能です。術後の治りを早めるべく、細い糸を使い的確に縫い合わせるなどの工夫も取り入れております。
Step6肌の再生
1週間ほど経つと赤みも引き、肌が再生していきます。
当院での工夫
Point.1 できるだけ小さい傷での腫瘍の摘出
Point.2 局所麻酔の痛みを軽減するために極細針を使用
局所麻酔には1%もしくは0.5%のエピネフリンを入れたキシロカインが用いられ、これらは酸性(pH3.5~5)に偏っていますが、注入する薬剤が中性に近いほど痛みが軽減できます。
当院では7%メイロンを混ぜることで中性(pH7)に近づけ、麻酔注入時の痛みを軽減しています。
手術の方法だけでなく脂肪腫全般について、こちらの動画でも詳しく解説しております。